2015年04月20日

竹林寺にいらっしゃる人々

地元に住むお参りの方、観光客の方、お遍路さん。
竹林寺にいらっしゃる方は、大抵この三種に大別できますが、
ここ数日は、また違った方々がいらっしゃいました。

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まずは山のふもとにある五台山小学校より、避難訓練の小学生たち。
大津波警報が発令されたという体で、遍路道を登ってきながら、
山下から境内まで20分ほどで到着したといいますから驚きです。
こどものパワーは凄いな、と思うと同時に、先生方も大変だろうにと感じました。
備えあれば憂いなし。しっかりと心構えをしていきたいものです。

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次は、遠くイタリアのベネチアよりいらっしゃった、留学生の方達です。

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この留学生受入れも今回で4回目となりました。
お迎えする度、その日本語の流暢さ、字のうまさ、
日本に対する造形の深さに驚かされます。

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真剣に写経に取り組みます。難しい漢字もありますが、
丁寧にされていました。さながら美術職人のようです。

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「日本を体験に来ました」ではなく、「日本で勉強しにきました」という
気概がひしひしと伝わる、みなさん真面目な学生さんでした。

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posted by 竹林寺 at 10:07| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月05日

アジアからの留学生へのエール

このところの雨で境内の桜の花もすっかり散り、これからは若葉萌え出る季節に移ります。
モミジやオンツツジ、そして、先月植栽工事が終わった大ケヤキも柔らかくみずみずしい葉をいっぱいにひろげようとしています。

さて、昨年7月、高知を訪れ当寺でお寺体験をした東京に本部がある竜の子財団の奨学生の皆さんが執筆した「竜の子奨学生」会報が贈られてきました。
この会報誌の「一語一会」のコーナーへの寄稿文を同財団のご許可をいただきましたのでここに掲載いたします。

竜の子財団とはアジア諸国からわが国に私費留学し日本の著名大学や大学院で学ぶ学生の皆さんに奨学金を支給し、将来各国有為の人材によるつながりを通じ国際交流、ひいては世界の平和に寄与しようとの目的で設立され、近年ではわが国の児童福祉支援にも力を入れている財団です。
(詳しくは同財団ホームページをご覧ください http://www.tatsunoko.jp/index.html )

昨年行われた高知での交流会は、日本三大清流のひとつである四万十川でのカヌー体験、高知の宵祭り、当寺でのミニ修行、鰹タタキ体験、桂浜散策など、日本を深く知る2泊3日の充実した旅行であったようです。

日本に留学し勉学に励み、縁あって当寺を訪れ短時間ながらも真剣にお寺体験や修行に臨む若い学生さんの姿を思い出すとき、今から千二百年前、仏教の奥義を求めて身命を賭して万里の波濤を渡り唐の国に留学した弘法大師のことがふっと浮かんできました。
そのことを「虚しく往きて実ちて帰る」と題して寄稿したものです。


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虚しく往きて実ちて帰る


  虚(むな)しく往(ゆ)きて実(み)ちて帰る。この言葉を竜の子奨学生の皆さんに贈ります。これは、今から1200年前、わが国に真言宗を開き、今日弘法大師と崇められ讃えられる空海の言葉です。

   弘法大師空海は生を讃岐の国屏風ヶ浦(現在の香川県善通寺市)に受け、18歳で都の大学に学ぶも官吏養成の学問でしかない当時の大学に失望。真の道を求めて出家します。そして、31歳のとき、仏教の奥義を求めて遣唐使の一員に加わり、当時の世界最先端の都市・唐の長安(現在の中国・西安)に留学を果たしたのでした。

  東シナ海の波濤を越え艱難辛苦の末、長安にたどり着いた空海は師と見定めた青龍寺(しょうりゅうじ)の恵果阿闍梨(けいかあじゃり)の門を叩くと、恵果阿闍梨はこの青年僧を見るや「私はあなたが私の元に来ることを長らく待っていた。今日ようやく会えた。大いによし。大いによし」とその器量をたちどころに見抜き、千人を超える門弟のなかでただ一人、この異国から来た青年にインド伝来の密教の奥義のすべてを授けられたのでした。

  そして、恵果阿闍梨は空海に「このうえは早く本国に帰り、この教えを天下に弘め人々の幸せを増すために尽くしなさい」と遺命(ゆいめい)するや示寂(じじゃく)されます。空海が恵果阿闍梨に師事した期間はわずか半年ばかり。この師の遺命に報いるべく空海は20年間の留学期間を切り上げただちに帰国、そして、真言密教の教えを開くとともに、書や詩、文学など文芸はもとより算術、天文、工芸、土木工学など唐での留学で学んだ成果をのちに神泉苑(しんせんえん)での祈雨の修法やわが国初の庶民のための学校である綜芸種智院(しゅげいしゅちいん)の創設、満濃池(まんのういけ)の修築などありとあらゆる分野に華開かせたのでした。

  空海はみずからのこの入唐(にっとう)求法を「虚しく往きて実ちて帰る」〜なにも持たずにやってきて大きな実りを手にして帰る〜と感動をもって伝え残しました。
 真言密教を確立した宗教的天才。のみならず、文学や教育、医療、建築土木などあらゆる分野に精通し今日のわが国の文化の基礎を形づくった巨人空海。この一見バラバラに見えるその八面六臂の活躍の源にあったのが師・恵果阿闍梨との出会いであり、「人々の幸せのために尽くしなさい」との遺命であったのでした。人々の幸福のため自国のみならず世界の発展向上のため、みずからが持てるすべてを用い世のために尽くすこと。それがその生をより高く全うすることだということです。
 
   アジアの有為の学生諸氏の留学を支援する竜の子財団の活動はまさに未来の空海を生む尊い働きで す。そして、竜の子奨学生の皆さんの日本留学が「虚しく往きて実ちて帰る」ものであることを願ってやみません。



(海老塚和秀)

posted by 竹林寺 at 08:30| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする